今世は当主になります外伝特別編「ティアが回帰した日」あらすじ&韓国原作小説レビュー

※以下の内容は、ネタバレが含まれておりますので、ご注意ください。

この記事では、ピッコマ大人気漫画「今世は当主になります」韓国原作小説（ノベル）の韓国でのレビューをまとめました。
ここでは、ノベルの外伝特別編「ティアが回帰した日」のレビューからまとめました。前世から今世に回帰したその日の出来事を書いている特別編です。

個人的に地図と年表と家系図相関図を書いてみました。公式ではありませんので、ご参考にお楽しみください。

今日のひとこと
ノベル外伝特別編「ティアが回帰した日」あらすじ
ノベル外伝特別編「ティアが回帰した日」レビューまとめ
まとめ

今日のひとこと

ペレス”ひらすら空虚だった”

ノベル外伝特別編「ティアが回帰した日」あらすじ

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「遅かったね、チャントーン」雨が降る窓の外を眺めていたペレスが言った。皇太子宮はすっかり暗闇に包まれ、ほのかな明かりが灯るのみだった。ペレスの顔に暗い影が落ちていた。

チャントーンは皇宮に来る途中に事故をおこし、到着が遅れたそうだ。「馬車で酒に酔った人物にぶつかりました。その女性の身元を確認してみるとロンバルディ家の私生児でした」チャントーンの言葉にペレスは顔をしかめた。

ついにロンバルディの家門を取り潰す業務を完了させたのは今日のことだった。もうロンバルディの名を聞くことはないと思っていたのに、最後まで粘り強かったロンバルディ家らしかった。

ビエーゼに婚外子がいたのか？と訊くと、そうではないと「ルーラック・ロンバルディの三男の子供でした。私生児の名前はフィレンティア・ロンバルディで・・」「やめろ」ペレスはチャントーンの報告を途中で止めた。

自分の知る必要のないことだから、遺族への補償などをうまくやれ、と指示を出したが、女性は一人暮らしだったので問題ないそうだ。「ロンバルディの家門とまさに生死を共にしたのだな」と感想を言い、ペレスはこの話を終えた。

ペレスは立ち上がると、チャントーンの同行する意志に変更はないか確認し、皇后宮へ向かった。足を進める間、2人の男の間には絶え間なく雨音が流れるだけだった。到着した皇后宮にはひとつの明かりも無く、その姿が宮の主人の姿に似て見えて、ペレスはより満足した。

水をたっぷり含んだペレスとチャントーンの足音が皇后宮の廊下に響く。皇后が幽閉されている寝室の扉を守る騎士２名以外、この宮には誰もいなかった。皇太子ペレスの命令だった。寝室の中からは破壊音とここを開けろという悲鳴が聞こえた。

ペレスが騎士に扉を開けるように命じた。一週間ぶりに扉が開かれた。息を切らしているラビニ・アンゲナスの投げた卓上時計が飛んできて、ペレスが捕まえた。帝国一の美人と賞賛された美貌も贅沢をつくした寝室も見る影もなかった。

ペレスは割れたガラスを踏みながらラビニに近づき、「決めたか？」と尋ねた。一週間前、ペレスは「毒とロープ。どちらで死にたいか、ラビニ・アンゲナス」と選択肢を与えていたのだ。それからだった。ラビニの狂気が始まったのは。

ラビニは叫んだ「まだ陛下が健在であろう！」それを聞いたペレスは「もう何日も目も開けられない状態を健在と呼ぶのはちょっと・・」とラビニを嘲笑った。「親を手にかけるなんて、悪魔め！」とラビニは叫んだが、ペレスは親はいないと答えるのだった。

ペレスの声かけでロープを持った騎士２人が寝室に入ってきた。ラビニは跪き懇願した「殺さないでください。どこか別宮で息を殺して暮らすから。だから、だからどうか・・」ペレスの答えは、私の母も苦しんだというものだった。

結局、騎士とチャントーン・サーシャウをその部屋に残し、ペレスは1人雨の中を離宮へ向かった。彼は1人でこの半分崩れかけた離宮を度々訪れていた。取れかけた扉を荒く押し、窓際に置かれた椅子に座り、横に置かれた酒瓶を手に取った。彼の指定席だった。

埃が舞う中、黙々と酒を注いだ。アルコールが強すぎて、今やもう生産されなくなった酒だった。ラビニの計略で幼い頃から摂取した毒の副作用で不眠症がひどい時もこの強い酒を飲んだ。食道を通るひどい痛みにも何も感じなかった。暗い赤い瞳は遠くの皇帝宮を見つめた「国葬を２回するのは面倒だから、まとめるか・・」そのようにヨバネス皇帝の最期の日が決まった。

ふた口で酒瓶をすべて空にしたペレスがつぶやいた「満足ですか、お母さん」復讐は終わった。まもなくペレスは皇帝になる。ひらすら空虚だった。何か大きなものを逃しているような気がしてならなかった。

以前から感じていた不快感だった。一体なにを。自分は何を逃したのか。いつものように答えはわからなかった。「ロンバルディの私生児・・」顔も見たことのない、今日ロンバルディと運命を共にした女性のことが頭をかすめた。

窓の外は暗闇で、まだ雨が降っていた。